高校野球・指導現場(超要約)
― 指導を変えたのではない。
思考の置き所を変えただけだった。 ―
公立高校・硬式野球部。
技術練習や練習量は、ほぼ変えていません。
変えたのは、
指導者と選手のコミュニケーションの質だけでした。
導入前
- 指導が感情的になりやすい
- 選手が受け身で、考えなくなる
- 劣勢時にベンチが静まり返る
勝率は 0.323。
行ったこと
- 指導者が「答えを出し続ける役割」から一度降りる
- 選手同士が、問いと承認で対話する仕組みをつくる
- 結果目標ではなく、在り方・行動に目標を置き直す
教えたのではなく、
考えやすい環境を整えただけです。
起きた変化
- 指導者の表情と声かけが変わった
- 選手からの相談が増え、内容も具体的になった
- チーム内の声かけが増え、雰囲気が安定した
結果(事実)
- 勝率 0.323 → 0.595(約84%向上)
- 技術・フィジカルの大幅変更なし
- 対戦相手の操作なし
この事例が示していること
指導の成果は、
やり方よりも、思考の状態に左右される。
指導者の思考が整うと、
現場は静かに変わり始める。
次に進む方へ
「自分の関わり方も、一度整理したい」
そう感じたなら、
答えを出さなくていい30分から始めてみてください。
高校野球部におけるコミュニケーション改善の実践(詳細)
概要
- 種別:公立高校 硬式野球部
- 部員数:約20名
- 指導者:監督・顧問等 計3名
- 支援期間:約10か月(2018年9月〜2019年7月)
本事例は、
技術指導や練習量を変えずに、
「コミュニケーションの質」を見直した結果、
チームと戦績にどのような変化が起きたか
をまとめたものです。
導入前の課題
指導者側の課題
- 感情的な声かけになってしまう場面がある
- 選手が受け身になり、主体的な発言が少ない
- 「強く言うこと」が必要だと感じながらも、違和感があった
チームの状態
- ミスが続くと雰囲気が急激に悪くなる
- 劣勢時にベンチが静まり返る
- チーム内の信頼関係が不安定
※ 11月末時点での勝率は 0.323
実施した取り組み(概要)
本導入では、
「選手を変える」のではなく
「関わり方を変える」 ことを軸に設計しました。
主な取り組み
- 指導者向けコミュニケーション研修(2時間)
- 選手の特性理解(コミュニケーションタイプ・優位感覚)
- 目標設定の再構築(結果目標 → 行動・在り方目標)
- 選手同士の対話ワーク(1回/週)
- 質問シートによる相互対話
- 「ココがいいね」ワーク(相互承認)
重要なのは、
外部者が主役にならない設計に切り替えた点です。
途中からは、
コーチが選手に直接関わる頻度を減らし、
指導者が変わることで、現場が変わる構造に移行しました。
起きた変化
① 指導者の変化
- 自身の言動が、選手に与える影響への気づき
- 表情が柔らぎ、声かけの内容が変化
- 「圧力をかけること」以外の選択肢を持てるようになった
実際に、
卒業生から
「先生の表情が変わった。力が抜けている」
という言葉も寄せられています。
② 選手の変化(主体性・思考)
- 指導者への相談が増加
- 単語ではなく、文章で相談できるようになった
- 自分で考え、試し、修正する姿勢が見られるようになった
③ チームの変化(雰囲気・関係性)
- 劣勢時でもベンチ内の声が途切れにくくなった
- チーム内の衝突・摩擦が減少
- 相互承認ワーク後、選手の表情が明らかに変化
自己肯定感・自己受容が高まり、
信頼を前提とした関係性が育ったと考察されています。
戦績の変化(事実)
Aチーム(レギュラー)の勝率推移
- 導入前(2017年7〜11月):0.323
- 導入後(2018年3〜7月):0.595
勝率は 約84%向上 しました 。
※諸事項
- 対戦相手の操作なし
- 練習試合・公式戦を含む実績
- 技術・フィジカルの大幅変更なし
重要な補足
この事例は、
- 魔法の指導法
- 特別なメンタルトレーニング
によるものではありません。
指導者の思考と関わり方が整った結果、
選手とチームが本来持っていた力を発揮しやすくなった
その記録です。
この事例が示していること
- 指導の成果は「技術」だけで決まらない
- 指導者の思考状態は、現場にそのまま反映される
- コミュニケーションは「空気」をつくり、
空気は「判断」と「行動」を左右する
最後に
夏の大会では、
甲子園出場校を相手に先取点を奪い、
最後までチャレンジをやめない試合内容でした。
夏の大会後、
多くの選手が
「すべてを出し切れた」
と語っています 。
勝敗以上に、
指導と育成の質が変わった
その事実が、この事例の本質です。
次に進む方へ
「自分の関わり方も、一度整理したい」
そう感じたなら、
答えを出さなくていい30分から始めてみてください。