このままでは、あなたは「パワハラ指導者」になってしまう?

こんな声がけしてませんか?

「なんでできないんだ」
「根性が足りない」
「ちゃんとしろ」

この言葉、どれかひとつでも、練習中に口にしたことはありませんか?

もし思い当たる節があるなら――
あなたはすでに、“パワハラ予備軍”の一員かもしれません。

「昔はこれが普通だった」という呪縛

多くの指導者は、自分が受けてきた指導を「正しい形」として信じています。
「俺たちの時代は、これで強くなった」
「厳しさが人を育てる」

確かに、その指導法で結果を出してきた人もいるでしょう。
しかし、それは“時代”が支えてくれた結果です。

今は違います。
社会も、選手も、脳科学も、教育理論も――
もう「根性論」では人は育たない時代になっています。

変わらない指導者の共通点:「危機が来るまで学ばない」

多くの指導者は、危機に追い込まれない限り、学ぼうとしません。

  • 成績が落ちても、「選手のせい」
  • チームの雰囲気が悪くても、「やる気の問題」
  • 辞める選手が続いても、「今の子は弱い」

……すべて外に原因を求める。

これを心理学では「危機依存型学習」と言います。
痛みを感じないと、学びが始まらない。
事故やクレーム、SNS炎上、報道被害――
そうした“危機”に晒されて、ようやく学びの扉を叩く。

しかし、そのときにはもう遅いのです。

「パワハラ」は意図して起きない

多くの“パワハラ指導者”は、もともと選手の成長を願っている人です。
悪気はなかった。
ただ、「伝え方を知らなかった」だけ。

  • 「ちゃんとしろ」→ 具体的に何を?
  • 「頑張れ」→ どこをどう頑張る?
  • 「やる気を見せろ」→ どんな行動を指す?

こうした曖昧な言葉が、誤解と恐怖を生みます。
指導者が意図しなくても、選手は萎縮し、
指導現場は“静かなパワハラ環境”に変わっていく。

海外では、コーチ同士が学び合う

欧米では「Community of Practice(学習共同体)」という環境・制度があります。
コーチ同士が対話を通じて、互いの現場を学び合う。
成功も失敗も共有し、支え合いながら成長していく。

日本ではどうでしょう?
学びは“上から与えられるもの”であり、
「他人の指導を批判するのは失礼」とされる。

結果として、孤立した指導者が、独自の正義を固めていく。
そして、その“正義”が、時にパワハラを生みます。

では、どうすれば変われるのか?

  1. 自分の言葉を記録する。
     練習中の声かけを録音・記録して、後で聞き返してみましょう。
     “自分がどう聞こえているか”を知ることが第一歩です。
  2. 対話の場に出る。
     他のコーチのやり方を知り、意見を交わす。
     「自分の方法しかない」という思い込みを壊す。
  3. 外部の専門家と関わる。
     ICF認定コーチなど、対話的な指導を専門とする人と交流することで、
     言葉の精度が変わります。

「指導」と「支配」は紙一重

指導とは、本来「指し、導くこと」です。
相手を動かすことではありません。
恐怖で支配することでもありません。

あなたの言葉が、選手を育てることもあれば、
選手の人生を壊すこともある。

その境界線を自覚することが、よりよい指導者の第一歩です。


あなたは、変われる

「このままでは、パワハラ指導者になる」――
これは脅しではありません。
あなたの成長のチャンスを示す“警告”です。

変わることは、恥ではありません。
学ぶことは、弱さではありません。
むしろ、“学び続ける指導者”こそが、次の世代を救うのです。

次の一歩へ

あなたが変わることで、選手も変わります。
まずは、自分の指導と言葉を見直すところから始めましょう。