コーチの雇い方

コーチの雇い方(9)経営者がコーチを雇う理由は経営判断を行うため!ということ

王道な雇い方です。経営判断を行うためです。経営判断は、かつて無い判断をする事になります。

いままで判断したことがない事象は、未知の判断です。経営者は、経営理念の元、判断をしなければならないときがあります。分岐点がやってきます。A,B,Cのどの選択肢を選ぶのか?そのときの勇気、判断、決断を実行するときに、行動が止まっていきます。

選択肢が選べない状態が長く続くことになります。選択肢は、分岐点に到達したときに有効な選択肢です。その時を逃すと選択肢から外さなくてはいけないものが出てきます。
仮に(A)案とします。その(A)案を選択するタイミングを外してしまった。後になって、その(A)案を選択しておけば良かった。という事があります。
このタイミングを外さないためには、判断する時間を短くする必要が出てきます。

この判断する時間を短くするために、コーチを雇うのです。

経営判断というものもそのひとつです。そのときに判断していれば、この選択肢は有効だった。という経験をいくつかお持ちのはずです。
その判断を逃しているために成長できず、倒産や資金繰りが悪化した例は世の中にごまんとあります。

経営判断をする場合に、事例をもって判断する場合があります。過去の事例です。コンサルタントが持ってくる案は過去の事例がほとんどです。過去の事例を基にして、経営状況を客観視したデータに基づいて判断する事を勧めます。
今までは、その判断が通用していたのかもしれません。ですが、今の時代はその判断が通用しない場合が多くあります。

私は経営者ではありませんが、刻一刻と状況が変化する中での判断はこの30年間で多くの判断をしてきています。
土木行政という、狭い分野での話になります。
興味がなければ読み飛ばしてもらえればと思います。

「災害対応」での判断。

土木行政の仕事のひとつです。台風や大雨、地震などが発生した場合の対応をする事があります。
マニュアルがあります。大雨の時には通行止めを行う。時間雨量○○mm以上の降水量となったら通行止めにする。というものです。これは過去の事例から対応行動を規定しています。
あくまでも規定です。経営判断におけるコンサルの事例といっても良いでしょう。ですが、大雨が降っているときよりも、その前の一ヶ月間はどんな気象状況だったのか?ということが影響してきます。さらに現地の地形、土の成分、植物の繁茂状況によって規定の降水量に達しなくても災害が発生する場合があります。
そのことを踏まえながら、最後は”勘”というものに頼らざるを負えなくなります。面白いことにこの勘が有効なのです。職員同士で話合って、意見を踏まえて判断する。データと勘を基に判断を行うことで、災害による人命を失う危険を排除できたことが多いのも事実です。
それは,判断する人の勘になります。

なにせ、災害は発生してみないとわからないので、、
ですが発生してからでは遅いのです。

その”勘”はどのように発生するのか?というとこれは当事者(判断する人=経営者)が沢山アウトプットしているかどうか?にかかってきます。

今の状況を話して、復唱して、意見を聞いて、判断後のパターンを想像して、さらに考えて行く。という手法です。

人間は不思議な生き物で、イメージと現実はかけ離れているのに、イメージが現実と思ってしまうことがあります。これは自らがアウトプット(話す)までかけ離れている現実とイメージを認識できない脳構造になっているのです。

このイメージと現実が乖離している状態を認識しないままに、経営者が判断を下したとしたら、そう考えただけで恐怖を感じます。イメージと現実が異なっているのだから経営判断を誤って当然になります。投資の失敗だったり、経営方針の誤りが起こってきて企業自体の存続が危ぶまれる状態に陥ることでしょう。
イメージと現実が乖離していることを認識しないまま、判断を行えば、大雨の時に、人命を失うという災害が発生するのです。

コンサルの持ってきた事例はあくまでも事例であって、参考にしかなりません。その参考事例を活用してイメージするのです。経営は生ものですから、参考事例だけで判断はできません。そのためにアウトプットが必要になってくるのです。

このアウトプットを行うために「コーチを雇う」のです。
経営者がイメージするものは、プラスのイメージ、マイナスのイメージ、どっちともつかないイメージなど様々です。社内でこのことを話すことももちろんできます。
社外コーチとこの事を話すのです。理由は簡単です。
社内では、社内目線なので物事を一方向でしかみることができません。
社外では、第三者目線と俯瞰的な目線で物事を見ることが出来ます。
コーチングで有効なのは、経営者がこの社外目線を取り入れることが可能になるのです。社外目線は思考の方向性だったり、思考の分野だったりします。

結果的に判断するのは経営者なので、経営者自身にその社外目線、経営判断をする能力を持っている必要があるはずなのです。
コンサルが判断するわけには行きません。経営者自身が判断するのですから、相当の覚悟と勇気が必要になります。

この覚悟と勇気の源になるのがコーチとの会話になります。

コーチを相手に判断対象の事象を話すと、経営者の思考が整理されます。社外の人に話すことで、事象が客観的に見えてきます。さらにコーチからの関連性の低い問いかけによって、さらに客観視がすすみ、俯瞰的に事象を捉えることが可能になります。

客観的、俯瞰的な視点を持つこと、経営者として必須の能力です。経営者は日々、様々な判断を繰り返す事で、客観的、俯瞰的な判断を行い、この能力を高めているといって良いと思います。そのことになれすぎると、主観的な判断が主になってくるのが人間です。どんなに客観的になろうとも主観によってしまう性質を持っていることを忘れてはいけません。
ですが、人間は忘れれてしまうのです。一度経験したことも、忘れてしまうものです。
「喉元過ぎれば、、」というではありませんか?

コーチは客観的俯瞰的視点を思い起こさせる専門家なのです。何気ないコミュニケーションから経営者に客観的、俯瞰的視点を思い起こさせてくれるのです。

令和4年4月25日(月)
茂木ゆういち