東北弾丸研修ツアーと被災

台風19号が関東を直撃した翌日の13日。

僕たち夫婦は秋田へ旅立った。幸いにも被害を免れた僕たちは新潟経由で秋田市の由利本荘市へと向かった。

朝10時30分 自宅を出発し利根川沿いを北上した。

利根川は普段の川幅の10倍くらいの濁流に満ちていた。

出発時は通行止めだった関越自動車道。渋川伊香保ICに着く頃には規制解除となり、渋川伊香保ICから関越道に乗ることができた。

関越自動車道を一路北上し新潟へ向かう。

途中の斜面には泥や土はほとんど無く、順調に走行することができた。

関越トンネルを過ぎると、湯沢の町は雨になっていた。

出発時、前橋は晴天だったが、関越トンネルを超えると天気は変わる。

雨天の中、順調に走行していく。

車は越後川口のSAへと入っていく。

越後川口SAは、新潟へ向かう時によく利用するSAだ。

越後川口SAからは信濃川の眺望が抜群に良い場所なのだ。

昼食をおえ、信濃川の様子を見るべく展望台に向かった。

展望台からは、蛇行している信濃川の様子がわかる。

蛇行している信濃川の川幅はやはり10倍以上に増えていた。

右岸側に目を落とすと、田んぼが一面に広がる。稲刈りは終わっていたのだろう。

田んぼには稲穂がなかった。

代わりに茶色い濁流に田んぼは浸っていた。

左岸側に目を移すと、宅地と田んぼが広がっている。

住宅地の間際まで信濃川の水位が上がっている。ひょっとしたら浸水しているのかもしれない。

そう思えた。

台風の雨量のすごさを実感する。

同時に、僕には何もできない現実を認識する。

濁流をなくすこともできないし、減らすこともできない。

ただ見つめることしかできない。

大丈夫ですか?

と声をかけることもできない。

自分の無力さを感じる。ただ、ただ、傍観者でいるしかできない。

そんな思いを胸に、越後川口SAを出発する。

そう、今日中に秋田に着かなければならないのだ。

車を北上させる。

長岡市に入った。

長岡JCTを過ぎ、幾度か信濃川を渡河する。

渡河するたびに、川幅が増している信濃川を見る。

渡河する時間が長くなる。

渡河する時間の長さと比例して、怖さも増幅する。

濁流に対する恐怖が増してくる。

ただ、ただ、眺めているしかない。

三条市へ入る。

対向車線。前方から赤色灯をつけた車の集団が迫ってくる。

十数台はいただろうか。

赤い自動車の集団とすれ違う。

数分後、対向車線に赤色灯をつけた十数台の自動車とすれ違う。

また、数分後、赤色灯をつけた十数台の車とすれ違う。

 

何が起こりつつあるのかは容易に想像できる。

 

新潟市内に到着し、休憩をとった。

苦い珈琲を口に入れる。そのとき、

台風の被害を人ごとに捉えている自分を見つける。

 

何もできない現実。ボランティアという行動もある。

しかし、行動していない自分を見る。

 

何をすれば良いのか。

これは、前職でも思う。公務員をしているとき、災害を目の当たりにしている。

土木事務所勤務、県庁内勤務。立場、役割を果たすことが、巡り巡って、被災された人たちにとって支援になる。

そう思っても、直接的に役に立つ方が良いのではないか。

という思いが錯綜していた。

直接的に人を助けることができなくても、間接的に人を支援する。

そういうことがあるコトも事実だ。

立場と役割。

僕にできることは何なのだろう。被災した人達が立ち直る。支援する人が支援できる環境を整える。

支援する人、される人が生きる為に稼ぐことが必要になる。

稼ぐことができる環境を維持する事も必要だ。

被災した人たちに、勇気と希望を与える役割を果たしている人もいる。

その場所、そのときに自分ができる事を精一杯することが

きっと、支援になるはずだ。

そう、自分に言い聞かせる。

さらに北上する。

新潟を過ぎ、山形に入る。

道の駅に入り、休憩をする。道の駅にも多くの人たちが思い思いに時間を過ごしている。

激しく波が打ち付ける海岸にいる。

僕たちはその時間を大切にした。

夜。8時間かけ秋田に到着した。

僕たちは、夕食をとり、移動の疲れを癒やすためにとこにつく。

明日、僕たちの話を聞く人たちが待っている。

その人達の目標達成を支援する。その話をする。その話を待っている人がいる。

その話を聞いて、会場に来てくれた人たちが、翌日から自分の目標を達成するために行動する。

そうして、世の中が回っていく。

僕たちにできることは、僕の役割は、目標達成したい人たちを勇気づけ、行動を促すこと。

目標達成したい人たちが、僕たちに影響を受け、行動する。

その行動が巡り巡って、被災している人たちを勇気づけ、行動を促すことにつながることを期待するしかない。

日々、今、ここでできる事をする。

それだけする。

今の僕たちにできる事。それをする。